第1話
53
愛が常住するところの、しかも今の今活気臨々たる生命であることを知れば完きまでに満ち足り、もはや後方を顧み未来を案ずるの愚は犯さなくなる。このことを了解した魂は、過去に非ず、未来に非ず、現在の中にこそ常に活々として働き給う臨在者の欠くることなき豊穣の中で営為する。
54
そのことに深く思いを致すがよい、そうすればあなたたちは悦びに満ち溢れるであろう。神我は常在の愛である。わたしがまこと明瞭かに見たのがこの愛であった。わたしは神が愛であることを直接に知った。神の子であるためにはわたしも又『愛』でなければならないのである。わたしにとって、もはや愛の他には何ものもないことを悟り、どのような仕打ちをわたしが受けたにせよ、わたしは神の子、すなわち、過去を知らず未来を知らず、罪も死も知らぬ、久遠常在完全なる愛 であり続けねばならぬことをわたしは知ったのである。
55
「ラザロよ出で来れ」(ヨハネ伝11節43節)というコトバは、生命のみが常在するを知るが故に神霊の界層より発せられたものであった。あなたたちがこれらの言葉を把握することができれば、久遠常在の生命が把握されるであろう。あなたたちの意識がその真理なることを把握できるならばあなたたちもまたこの言葉を発することができるようになり、あなたたちの発する言葉はそのまま実現するであろう何故ならば『今』の中で創造されたからである。
56
あなたたちは外部からくる色々な意見にによって影響され、周囲の状態によって暗示をかけられている。あなたたちは死や朽廃を信じている。しかし実在には死も朽廃もなく変化があるだけである。それが生命である。一切の背後にこの常在の生命を見、かつそれを明確に自覚するならば、あなたたちの全身体の全分子がそれで満たされるようになる。
57
神我が主である、『わたし』は変わらぬ。目を見開いて自分自身の中にこの大いなる真理を見るがよい。
58
[神を]顕現する心構えができた分だけあなたたちは神に似つかわしくなったのである。人類の胸(ハート)の中にある神の子即ちキリストが人々に手を差し伸べ、早く人間自身の神性意識に目覚めよと促している。なぜなら各人一切の中に神我は在って永遠に生きているからである。この真理に気付いたとき胸(ハート)は永に平安である。
59
『わたしは主なる汝の神である。わたしは父と一体であり、父とわたしは決して離れることなく、わたしたちの中にあって共に働いている』。
60
キリストの七つの大行は、過去のものではなく、今こ瞬間あなたちにとっても現実となるのである。神我が人間の手を以て造られたのではない神殿において、大生命の生誕を経験するのである。
心身の神癒 : 主、再び語り給う M.マグドナルド・ベイン著 ; 仲里誠吉訳 霞ケ関書房, 1972
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参考、
ほうじょう【豊穣】とは。意味や解説、類語。[名・形動]穀物がみのりゆたかなこと。また、そのさま
えいい【営為】とは。意味や解説、類語。人間が日々いとなむ仕事や生活。いとなみ。