この世界は私に属している。 物も、金も人も、陸も海も、全部私のものだと、若き日の私は考えた。 神の御手による大空の下を、私は大手を振って歩いた。 その頃の私の言葉は、「私が」であった。
歳月は流れ、私の行く道に、一条の光がひらめき、 私の心に小さい光がさしこんだ。 先の言葉は、もはや私を満足させなかった。 私の言葉は、「私とキリストが」と変わった。
しかし、私が主を仰ぎ望むほどに、主の栄光はより強く輝き、 私の栄えはうすれて行った。 私は低くされ、主は高くされた。 私の口からは、「キリストと私が」という言葉が 語られるようになった。
さらに歳月は流れ、かつて心にさしこんだ小さい光は、 今や私の心の王座を占め、 私はまったくその光のとりことなってしまった。 今、私の口から出る言葉は、へりくだった口調の 「キリストだけが」である。
みな互に謙遜を身につけなさい。神は高ぶる者をしりぞけ、 へりくだる者に恵みを賜うからである。(Ⅰペテロ5:5)
「荒野の泉Ⅱ」 カウマン夫人著より