それ仏法遥ぶっぽうはるかに非あらず 心中しんちゅうにして即ち近し (『般若心経秘鍵はんにゃしんぎょうひけん』) ざっくりとお伝えしますと、「仏さまはそんなに遠くにはいないよ」「思っているよりもずっと近くにいるんだよ」といった意味になります。なんだかびっくりしてしまうようなことばですよね。私もはじめて聞いたときにはかなり驚きました。
最初は半信半疑だったけれど……
般家庭で育ち、結婚を機に仏門に入った私は、仏教のことをほとんどなにも知らないまま、本山での修行生活をはじめました。それまでは、仏さまというのは、自分とはまったくかけはなれたところにいらっしゃる、触れることもかなわない存在なんだと思い込んでいたんです。
でも、真言宗では、この世のすべては大日如来(※1)の化身である、と教えるんですね。つまり、いまここにある自分をも含めたすべてが、そのままの姿ですでに仏さまなんだ、ということです。
私も、それを最初から素直に納得できたわけではありませんでした。だけど、修行を終えて自分のお寺に戻ってきて、日々、慣れないながらも目の前のことに懸命に取り組んでいるうちに、ああ、こういうことなのか……と、しみじみと実感する瞬間が増えてきたんです。
※1 大日如来 宇宙の根本のエネルギーをあらわした如来。一切の現象は大日如来が姿を変えてあらわれたものとされる。
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参考。
大霊=大日如来=宇宙の根本エネルギー。