71
浪の上を歩くわたしの姿に最初に気付いたはヨハネであった。(マタイ伝14章15節以下。マルコ伝6章30節以下。ルカ伝9章10節以下ヨハネ伝6章1節以下参考)
72
群衆の中に立っていた気性の烈しいペテロが叫んだ、「主よ、主よ、本当にあなた様ならわたしに浪の上を渡ってあなた様の処へ来いとお云いつけ下さい」。わたしは(頼まれた通り)渡ってこいと命じた。
73
ペテロが浪の上に足を踏み出してみると浪はまるで岩のように固く、(そのまま)彼は歩いて行った。その時彼はみ霊の力に満たされていたのである。彼の望みは、浪の上を歩いてわたしの為た通りのことを為ことだったのである
74
そういう訳で剛気なペテロは浪の上を渡り出したのであるが、幾らも経たないうちに、こんなことなど今迄にした事ないと考え出したのである。彼にしてみればそれは新しい体験であり、奇妙な事だったのである。
75
歩いて行くうちに、もし浪が足許で崩れてしまったらどうなるのだろうか、自分は沈んでしまうだろう、と心の中で考えたのである。
76
その時、浪が砕け、彼は沈み出した。恐怖に取り憑かれるれてしまっていたのである。
77
わたしは彼に云った、「おお、ペテロよ、何故君は疑うのか」。
78
それと同じことをわたしはあなたたちに尋ねたい。何故あなたたちは疑うのか。あなたたちも自分自身に次の質問をするがよい、「神のみ霊が自分の中に宿り給い、神我には天上天下のあらゆる権能が備わり、すべてを支配する主権が有ることを今や悉く悟ったというのに何故自分は疑うのか」と。
79
再び次のことを自問するがよい、「何故自分は疑うのか。悟りが足りないいのか。それとも、とかくしらないものには恐れを抱くものだが、(自分の場合も)馴染みのないものに対する恐怖なのか」。
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父よ、貴人に感謝し奉る、貴人とわたしは一体なるが故に、わたしたちの間には馴染みのないものとてはひとつもない事を貴人はわたしにお示し下さいました。
心身の神癒 : 主、再び語り給う
M.マグドナルド・ベイン著 ; 仲里誠吉訳
霞ケ関書房, 1972
参考、
悉く=ことごとく。
まさに、奇跡の対話である。
蒼氓。