ハイパー夫人は、千里眼、テレパシー能力、透視能力、霊言など、あらゆる霊現象を起こす万能の霊能者として知られていたが、
極端に懐疑的なホジソンの調査は、厳格を極めた。ハイパー夫人の日常生活を細部に至るまで調査しただけでなく、探偵を雇って尾行させたり、降霊会のための情報収集をしていないかどうかまで監視させたりしたとまでいう。そして、秘密漏洩防止のために、降霊会に参加する人の名前は全てsmithに変えて統一したり、新聞を読むのを禁止したり、徹底的に不正を行えない状況にして調査を行ったが、ハイパー夫人には不正は全く見つからなかった。
ホジソンはどうしても自分の手で不正の証拠を掴めないため、ハイパー夫人をイギリスへ送って、イギリスの本部でも徹底的に調査を行ったが、それでも不正を見つけることができなかつた。
イギリスの調査後、ハイパー夫人はアメリカに戻り、再びホジソンの調査は始まったが、不正の証拠は見つからないものの、ホジソンは懐疑的な気持ちは消えていなかった。
しかし、ホジソンの友人のジョージ・ペラム氏が事故死をして、ペラムの霊が現れるようになってから、彼の態度は変わった。ハイパー夫人の降霊会にペラムの友人を匿名で複数参加させて会話の内容を確認させたり面識のない人も混ぜてみたり、いろいろと試した結果ホジソンは「人間は死後も霊として存在している」ということを確信するに至ったという。そして晩年には、彼自身にも霊能を発現、ハイパー夫人の指導霊達が、彼の元え降りてくるようになり、霊との会話ができるようになったという。
ホジソンは生前に、「自分が死んだらハイパー夫人を通してメッセージえお送る」といったとされ、死後8日目に、ハイパー夫人を通じて霊界からメッセージを送ってくるようになったという。
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リチャード・ホジソン、1855年~1905年
ケンブリッジ大学法律学教授。優れた知性と極端な懐疑主義者で知られた。彼の初期の調査は否定的結果に終わったため、パイパー夫人を10年ほど調査するまでは、「ほとんどすべてのプロの霊媒たちは、多少とも互いに結託した卑しい詐欺師の一団である」と信じていた。
なお、当時隆盛を誇っていた神智学のブラヴァツキー夫人を調査して否定的な報告書を提出したり、1895年、ケンブリジで行われたユーサビア・バラディーノの交霊界に出席して詐欺行為だと確信したエピソードが知られている。
参考文献、 神秘の世界 宮城音弥著
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