第 七 話
吾が言葉は天より来る
わたしはわたしの平安とわたしの愛とをあなたたちにもたらす
1
聖書の価値をいっしょに考えてみよう。
2
『聖書』は地上界の律法と天界の律法とを述べたものである。
3
多くの巻に書かれている言葉はイズラエル人の予言者達の天啓に基く言葉である。これらの予言者達は天啓を受けた者であり、霊的なことすべてについて非常に深い研鑚を積んでいた。
4
彼らには、表現されるのを待っている智識を霊的本源から天啓によって発動させる力があった。
5
これらの予言者達はたいていはこの目的のために生まれた者で、聖書を全部読み通せば、彼らの大多数の身の上に起きた特殊な事柄がわかる。その言葉は天啓されたものではあるが、それを書いたのは人間である。
6
天啓(インスピレーション)はみ霊から来る一種の力である。それは独自の経路を通して自己を表現するのであるが、その際、器(となる媒体)の特殊の性質に応じてその型に嵌め直される場合が屡々ある。(しかし、あなたたちの面前で)今この瞬間に起きつつあるような霊的本源から(直接)来る純粋な形の天啓(インスピレーション)もある。この場合(天啓は)内界に宿る霊的力(すなわち神の分霊、神我)の意識が使用している器(媒体)の内なる意識を通して現れているのである。この方法は場合によっては聖書に出てくる予言者達によって用いられることもあった。
7
わたしたちはそれを天啓(インスピレーション)の書と呼んでおり、これが、世におけるその大いなる価値の秘密である。
8
魂は常にその存在の本源を探し求めており、この欣求(ねがい)が天啓(インスピレーション)によって人を真理へと導く。魂より出る切なる叫びにして神霊界より答えられなかったためしはない。
9
あなたたちはすべて大いなる全能の父の中に永遠に繋がっているのである。あなたたちと父との間には何の巨(へだたり)りもない。又あなたたちとわたしとの間にも何の巨(へだたり)りもない。何処にも区切りはないのである。区切りや分離は人間心に生じた無智よりくる観念にすぎない。
10
実在には分離はない。あなたたち各人の中にいます神のみ霊とわたしの中のみ霊とは離れ離れなのではない、そのみ霊とは父のみ霊であり父のみ霊が今あなたたちに語りかけているのである。声はみ霊にのみある。
心身の神癒 : 主、再び語り給う
M.マグドナルド・ベイン著 ; 仲里誠吉訳
霞ケ関書房, 1972