その日の交霊会の終りに、最近一人娘を失ったばかりの母親からの手紙が読み上げられた。
その手紙の主要部分だけを紹介すると───
〝私は十九歳のひとり娘を亡くしてしまいました。私も夫も諦めようにも諦めきれない気持ちです。
私たちにとってその娘が全てだったのです。
私たちはシルバーバーチの霊言を読みました。
シルバーバーチ霊はいつでも困った人を救ってくださるとおっしゃっています。
(肢体不自由だった)娘は十九年間一度も歩くことなく、酷しい地上人生を送りました。
その娘が霊界でぶじ向上しているかどうか、
シルバーバーチ霊からのメッセージがいただけないものでしょうか。
地上で苦しんだだけ、それだけあちらでは報われるのでしょうか。
私は悲しみに打ちひしがれ、途方に暮れた毎日を生きております。
これを聞いたシルバーバーチは次のように語った。
「その方にこう伝えてあげてください。
神は無限なる愛であり、この全宇宙における出来ごとの一つとして神のご存知でないものはありません。
すべての苦しみは魂に影響を及ぼして自動的に報いをもたらし、そうすることによって宇宙のより高い、より深い、より奥行きのある、側面についての理解を深めさせます。
娘さんもその理解力を得て、地上では得られなかった美しさと豊かさをいま目の前にされて、これからそれを味わって行かれることでしょう。
また、こうも伝えてあげてください。
ご両親は大きなものを失われたかもしれませんが、
娘さん自身は大きなものを手にされています。
お二人の嘆きも悲しみも悼みも娘さんのためではなく
実はご自身のためでしかないのです。
ご本人は苦しみから解放されたのです。
死が鳥かごの入り口を開け、鳥を解き放ち、自由に羽ばたかせたことを理解なされば、嘆き悲しむことが少しも本人のためにならないことを知って涙を流されることもなくなるでしょう。
やがて時が来ればお二人も死が有難い解放者であることを理解され、娘さんの方もそのうち、死によって消えることのない愛に満ちた、輝ける存在となっていることを証明してあげることができるようになることでしょう」
こう述べてから、次の言葉でその日の交霊会を結んだ。
「地上で死を悼んでいる時、こちらの世界ではそれを祝っていると思ってください。あなたがたにとっては〝お見送り〟であっても、私たちにとっては〝お迎え〟なのです」
シルバーバーチの霊訓(六) 近藤千雄訳
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